話題提供:クリスチャン・ダニエルズ氏
(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授)
お 題:中国少数民族が営んだ林業-18〜19世紀貴州ミャオ族の山林経営
日 時:6月20日(金)午後2時〜5時
会 場:森林総合研究所関西支所会議室(近鉄・京阪丹波橋駅歩7分)
http://www.ffpri.affrc.go.jp/fsm/access/index.html
第5回林野誌研究会は、東京外大のクリスチャン・ダニエルズさんをお招きし、中国江南の伝統的育成林業(広葉杉)についてお話を伺います。
従来の林学の教科書では、育成林業は18世紀に日本とドイツで始まったとされてきましたが、中国史研究においては、既に13世紀に南宋で育成林業とその流通・市場システムが成立していたことが明らかにされつつあります。江南での育成林業としての山林経営は、近世においても苗族や漢族の間で広く行われ、それは興味深いことに、発達した借地林業・流通機構や、世界的に特殊な施業体系(挿し木造林、木場作造林)など、西日本の伝統林業と類似性を持っていたようです。
ダニエルズさんは、近世(18〜19世紀)の貴州苗族の育成林業について地域研究を行ってこられました。講演では、少数民族である苗族が低地の漢族市場に相対して展開してきた山林経営(生産流通から施業まで)について、歴史史料や多くの写真とともにご紹介いただく予定です。日本の林業の出自を考える上でも、重要なお話になるかもしれません。皆様のご参加をお待ちしています。
・二時間ほどのお話と、自由な質疑を予定しています。ご専門に関わらず、気軽に議論にご参加ください。
・終了後、近辺での懇親会も予定しています。予約をいただけると助かりますが、当日の飛び入りも可能です。
・講演は日本語の予定です。
”(仮)林野誌研究会”について
・専門性を極めるためではなく、森林を考える/見る目を広げるための場を作りたいと考え始めました。
・林学のリベラルアーツとしての側面を涵養できればと思います。
・異分野の話題を知ることで、学際的な議論のきっかけを提供します。
・ジャンルは問いませんが、森林に何らかの関係があるテーマとします。
・疲れないよう、サロン的雰囲気で極ルーズに運営します。
・会員制はありませんので、どなたでも参加できます。
世話役/連絡先は…
大住克博 osumi■muses.tottori-u.ac.jp
奥敬一 hoku■tad.u-toyama.ac.jp
山本伸幸 n.yamamoto■affrc.go.jp
(■は半角の@)
第1回 高原光さん(京都府大)「古生態資料からみた温帯性針葉樹の植生帯での位置づけ」
第2回 山縣光晶さん(林業経済研究所)「分水嶺の時代 ―ドイツ林学・林業は、いかなる時代に生まれたか」
第3回 柴崎茂光さん(国立歴史民俗博物館)「世界自然遺産の保護による文化や遺構消失の危機」
第4回 横井秀一さん(岐阜県森林文化アカデミー教授)「雑感「今どきの林業技術と人材育成」」