報告者らは、2005年及び2010年農林業センサスの林業経営体個票データを入手し、二回の結果を個票レベルで接続した上で、この2年間分析に取り組んできた。これは、林業経営体をセンサス個票レベルで分析する本格的な研究プロジェクトとしては初めてのものであった。2000年代後半、日本林業は長らく下降を続けてきた素材生産量が上向き始めるなど、林業再生への胎動を見せ始めていた。この動き始めた日本林業をセンサスはいかに捉えることができたのか、分析結果の報告会を二回にわたり開催する。
2005、2010年農林業センサスミクロデータ分析結果報告会 1
■ 日時:9月7日(月)14:00〜17:00*終了しました
■ 場所:筑波大学東京キャンパス文京校舎 116番教室(東京都文京区大塚3-29-1)
■ スケジュール: 報告
1. センサス個票データの分析 I(藤掛一郎)
2. センサス個票データの分析 II(田村和也)
3. 森林を保有する林業経営体の経営行動(田村和也)
4. 保有山林及び受託・立木買いによる素材生産の活発化(藤掛一郎)
5. 世帯構成が家族経営体の経営行動に与える影響(田村和也)
ディスカッション(コーディネーター:餅田治之)
第一回は、はじめに、今回入手した林業経営体個票を2005年、2010年について接続したデータについて説明するとともに、その分析方法、個票データ活用の意義について論じる。続いて、総括的な分析として、保有山林の経営と、保有山林及び受託・立木買いによる素材生産について、近年の動向を分析した結果を紹介する。さらに、各論に入り、森林を保有する経営体のうち家族経営体の経営行動について世帯構成との関連を分析した結果を報告する。
また、ディスカッションでは、今後2015年データを入手して、その分析に取り組みたいと考えていることから、その計画についても関心のある研究者間で意見交換を行いたい。
2005、2010年農林業センサスミクロデータ分析結果報告会 2
■ 日時:12月4日(金)14:00〜17:00*終了しました
■ 場所:筑波大学東京キャンパス文京校舎 302番教室(東京都文京区大塚3-29-1)
■ スケジュール: 報告
1. 家族経営体の経営行動に影響する要因(林雅秀)
2. 大規模保有林経営の位置付けと特徴(大塚生美)
3. 公・共的経営の位置付けと特徴(大地俊介)
4. 家族農業経営体による林業作業の受託・立木買い(山本伸幸)
ディスカッション(コーディネーター:餅田治之)
第二回は、特定の組織形態等を持つ経営体に対象を絞り、個票データの利点を生かして詳細に分析する各論4報告である。まず、森林を保有する経営体のうち、それぞれ家族経営体、大規模保有林経営、公・共的経営を対象に、近年の経営行動を分析した結果を報告する。続いて、家族農業経営体でかつ受託・立木買いを行う経営体を取り上げ、その特徴を分析した結果を報告する。