宮崎はいかなる林業を目指すのか -宮崎の山が草刈り場で終わることのないように-
今年の西日本林業経済研究会は、ひむか維森の会と共催いたします。ひむか維森の会は宮崎県内の素材生産事業体 23 社が参加する組織です。2003 年から任意団体として活動され、現在NPO 法人設立準備中です。地域の森林環境保護を会の趣旨として謳われ、今後の素材生産業のあり方を模索されています。
宮崎の林業はこれからどのように展開していくのか、どのような方向に持っていけばよいのかを、現場を担い、現状をよく知る素材生産業の方々と、さらに製材業、森林所有者の方々も交え、語り合おうというのが今年の研究会の一番の狙いです。ひむかの方々も全国の研究者、学生に宮崎の実態を知ってもらい、意見交換をすることを楽しみにしておられます。実り多い会となるよう、ひむかの方々と協力して準備を進めております。多数のご参加をお待ちしております。
○ 趣旨
木材自給率が 20%に回復するなど、全国的に国産材素材需給が活発化する兆しがある。とりわけ九州のスギ素材への需要は旺盛である。もともと九州のスギ素材生産量が 270 万 m 3 程度であったところへ、中国木材と新栄合板で 25 万 m 3 程度の新たな需要が発生したと見られ、今後新生産システムでも 35 万 m 3 以上の素材需要増加が見込まれる。
宮崎では近年主伐を中心に素材生産が拡大し、安い材価でも大量の素材を供給しうる地域として、有力なスギの産地に成長してきた。スギ産地宮崎にとって昨今の素材需要の増加はさらなる飛躍のチャンスである。
しかし、素材生産拡大の背後には、安い木材価格のために林業経営をあきらめた森林所有者の主伐後の再造林放棄や、やはり安い木材価格のために採算が合わず主伐、間伐がなされずに放置された人工林、車両系集材により痛んだ伐採跡地、素材生産担い手の低賃金、とまらぬ山村人口の減少といった多くの問題が山積みである。これらの問題が解決されないまま、単に安い材価で大量に素材を供給し、山の資源を食い尽くすだけならば、元も子もない。
従って、素材需要の増加に応えながら、それだけではなく、林業の活況を一時的なものに終わらせず、次の二つのことにつなげていかねばならない。それは、一つは立木価格の上昇が森林所有者を元気づけ、また素材生産担い手の待遇が改善されること、もう一つは山の資源が将来にわたって循環利用されるように維持管理されること、すなわち山の生産者と山の資源の両方の持続性が担保されることである。
宮崎は全国の林業地に先んじてこの課題にチャレンジしなければならない位置にいる。そして実際、宮崎の林業関係者の多くはこのような問題意識をすでに共有し、手をこまねいているばかりでなく、チャレンジに努力を惜しまないでいるように思われる。宮崎のチャレンジは今どこまで進み、これからの課題はどこにあるのであろうか。
○ 日程
2007 年 7 月 7 日(土)~8 日(日)
○ 場所
現地見学: 都城市~北郷町~宮崎市田野町周辺
集合は、1)JR 都城駅、もしくは 2)木脇産業(株)。
懇親会・宿泊・パネルディスカッション会場:
ホテルメリージュ
880-0805 宮崎市橘通東 3-1-11
tel. 0985-26-6666, web http://www.merieges.co.jp
○ プログラム
1 日目(7 日土曜日) 現地見学&懇親会
10:30 JR 都城駅前ロータリー、もしくは 11:00 木脇産業に集合
※自家用車の方は直接木脇産業へお越しください。駅集合の方についてはバスもしくはレンタカーを手配し、乗り合わせていただきます。自家用車の方はこの日は宮崎市内のホテルまで各自の車で移動をお願いします。
11:00~13:00 木脇産業にて製材施設等見学及び昼食
※弁当とペットボトルを用意します。
13:00~14:30 移動
※都城市→三股町→北郷町→田野町のルートで、途中止まって山の状況を見ながら移動し
ます。
14:30~16:30 伐採更新現場見学
※伐採現場に入ります。小雨決行です。また、伐採、造材の体験も予定しています。作業用の服、靴での参加をお願いします。
17:30 ホテルメリージュ着
※自家用車の方はホテル駐車場をご利用ください。1 泊 900 円の駐車料は駐車場にて各自お支払いをお願いします。
19:00~21:00 ホテルにて懇親会
2 日目(8 日日曜日) パネルディスカッション
9:00~10:30 第 1 部(90 分) スギの利用と素材需給:宮崎の製材業界、スギの利用、また素材の需給と価格はこれからどうなるのか。
10:45~12:15 第 2 部(90 分) 素材生産業の将来:素材生産業の現状、問題点、将来像、取り組み課題。
12:15~13:15 昼食
※弁当とお茶を用意します。
13:15~15:15 第 3 部(120 分) 林業経営と山の将来:自立した林業経営の姿は描けるのか。森林組合の役割は。山の管理は大丈夫か。
15:30~16:30 第 4 部(60 分) 全体討論:全体を通して論点の整理、意見、感想。
○ パネリスト(打診中のものも含み、変更がありえます。ご了承下さい。)
第 1 部:持永木材 持永光志氏、木脇産業 山下史洋氏、ひむか維森の会から 2 名、鹿児島大学 遠藤日雄氏、(司会)宮崎大学 藤掛一郎
第 2 部:ひむか維森の会から 3 名、耳川広域森林組合 甲斐若佐氏、谷口本店 谷口善典氏、(司会)ひむか維森の会 松岡明彦氏
第 3 部:谷口本店 谷口善典氏、津田産業 渡部芳裕氏、中規模所有者 1 名、耳川広域森林組合 甲斐若佐氏、諸塚村 矢房孝広氏、九州大学 興梠克久氏、(司会)藤掛一郎
○ 参加料
社会人 15,000 円、学生 9,000 円(全行程参加、1 泊 3 食つき)
○ 参加申し込み、問い合わせ
申し込み、問い合わせは宮崎大学農学部 藤掛一郎(fujikake[at]cc.miyazaki-u.ac.jp)までお願いします。申し込み締め切りは 6 月 8 日(金)です。
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