日時:2013年6月21日(金)13:30〜
場所:森林総研関西支所会議室
http://www.ffpri.affrc.go.jp/fsm/access/index.html
講師:山縣光晶 氏
題目:分水嶺の時代 ―ドイツ林学・林業は、いかなる時代に生まれたか、その黎明期の時代を文学の世界から読む-
(事前申し込みは不要です。研究会後、懇親会を予定しています。)
内容:
分水嶺の時代(Sattelzeit:ザッテル=「馬の鞍」、「山の鞍部」の時代)とは、およそ18世紀から19世紀に移り変わる半世紀を言います。フランス革命、ナポレオンのヨーロッパ制覇と没落、王政復古と3月革命。市民社会の台頭と広がりゆく産業革命。疾風怒濤の時代からロマン主義、古典主義そしてレアリスムスへ。ルソーの教育思想の普及とイエズス会学校の閉鎖、フンボルトとベルリン大学の創設・・・・・
ドイツ林学が生まれ、ドイツ林業が現代に続く形を整えていった時期は、まさに、ドイツ語圏、いやヨーロッパ全体の大変動の時代でした。この時代に人間と森との関係は大きく変わり、人々の森や自然に対する眼差し、考え方も多様なものとなります。新しい森の文化を生む下地が形成されたと言っても過言ではないでしょう。
ドイツの林学や林業は、わが国にも大きな影響を与えていますが、その成立事情、ひいてはその本質を理解するには、社会全体の動きや精神史(=人々の思想・信条や心情の動き)から光をあてることが不可欠です。林学・林業内部から見るだけでは偏った像しか得られません。文学作品は、そのための豊富な材料を提供しています。文豪ゲーテや、ロマン主義文学を代表するティークやノヴァーリス、孤高のヘルダーリン、至宝の女流作家アンネッテ・ドロステ=ヒュールスホフなどの作品を通して、黎明期のドイツ林学・林業の時代背景、林学・林業が受容したもの、捨て置いたものなどを読み取り、併せて、人々の心情や社会における林学・林業のその後の受容、林学・林業の葛藤と変容を考えます。
企画:大住克博、奥敬一、山本伸幸
問い合わせ先:山本伸幸 n.yamamoto■affrc.go.jp
(■は半角の@)