第136回日本森林学会大会で企画シンポジウム「竹林の機能評価と新しい価値の創出」を開催します。関心がある方はぜひご参加いただけますと幸いです。
S9. 竹林の機能評価と新しい価値の創出
- コーディネーター
久米朋宣(九州大学農学研究院),篠原慶規(宮崎大学農学部),藤原敬大(九州大学農学研究院) - 日時
2025年3月21日(金)9時~12時 - 会場
S12(農) - 趣旨
カーボン・ニュートラル、SDGs、ネイチャーポジティブなどの世界的な大きな潮流の中で、森林資源をより積極的に活用し、循環型の資源利用システムを構築しようという機運が世界中で高まっている。森林資源の中で、その旺盛な成長から、モウソウチク等の竹林への期待も大きく、竹林利用の促進が世界各地で進められている。しかし、日本や台湾では、生活様式の変化に伴って竹林は積極的に利用されなくなり、管理放棄された竹林が拡大する傾向にある。管理放棄竹林の拡大は地域の生態系に負の影響を与えることが報告されており、また、近年の温暖化傾向に伴い、竹林の生息可能域が今後ますます拡大すると懸念されている。
竹林資源が有効に活用されず、管理放棄竹林が拡大するという現状を打開し、竹林資源の循環利用を促進するためには、何が必要なのだろうか。健全な科学的手法に基づき竹林の多面的機能を理解し、多面的機能を高度に発揮する竹林の姿を提示できれば、政府・自治体と地主・事業体との間で目指すべき目標を共有することができ、持続可能な資源利用の正のサイクルが回り始めるかもしれない。
竹林の多面的機能は、水源涵養機能や炭素吸収機能など環境保全に関わるものから、文化・歴史・芸術に関わるものまで、多岐にわたる。竹林の持つ機能については、古くから研究がなされており、近年の科学技術の発展とともに、竹林の環境保全に関わる機能の定量的評価も進んできた。これらの知見を組み合わせることで、竹林の新しい価値を創出し、竹林利用の機運をより一層高めることができるかもしれない。
今回のシンポジウムでは、竹林の多面的機能について、文理の枠を超えて分野横断的かつ包括的に理解し、多面的機能を高度に発揮する竹林とはどのようなものなのか、竹林を中心とする新たな地域内経済循環システムを生み出すための新しい価値とは何なのか、を考えたい。 - 発表者
- 小林慧人「日本のタケ類とその生態的特性」
- 張庭維「竹林の揮発性有機化合物放出—竹林管理と気候変動における大気質への影響」
- 岩松文代「竹林の発揮してきた文化機能」
- 井上岳「ライフサイクルアセスメントから見える竹材利用の温室効果ガス削減の可能性」